医療は、人的サービス産業です。
医療はサービスではないというドクターも多いのですが、産業構造的には大枠としてサービス業に入ります。
サービス業は、人が中心です。
職員がいなくでは、医療機関は運営できません。
人を管理するのが、組織です。
組織とは、共通の目標を有し、目標達成のために協働を行う、何らかの手段で統制された複数の人々の行為やコミュニケーションによって構成されるシステムと定義されています。
患者様に、検査、診察、手術などの行為を提供して病(やまい)を癒すということが第一目標であり、そのために協力をしながら、運営をされています。
この組織をマネジメントする際に、いくつかの側面があります。
労務管理と呼ばれる勤怠や給与といった側面、働く意味を理解し意欲的に勤務してもらうためのモチベーション管理、新しい人材を確保する採用管理などの側面があります。
これが、今までと違う状況に入っています。
医療機関の組織は、患者様に対して医療を提供するという、ある意味、公共的な要素があり、そこで働く人の意識は高く維持されていました。
どんなにひどい組織であっても、目の前の患者さんに対してはひどい対応はできません。
患者さんにいい医療を提供していこうという意識は、不思議と自律精神を醸成していたようです。
こうあらねばならない という暗黙のルールが適応されていました。
経営者サイドも、患者樣のためという伝家の宝刀があることから、働くのが当たり前という意識も強かったようです。
しかし、昨今の有効求人倍率の高さ、少子高齢化の進展により、勝手が違ってきたようです。
今まで普通の対応が理不尽であると、考える層が増えてきたのです。
今の日本は、自分が損をしたくないという意識が強いです。
まだ、医療人は、損得だけで物事を評価する訳ではないのですが、その周りにいる人々は普通に損得感情で動いています。
夫や恋人、友人などから、働いている状況に対して、「それはおかしい」という話を聞き、自分の労働環境について疑問を持つなんて状況は、今も昔も多いのです。
さらに今は働くことの持つ意味が変わってきました。
医療機関は、人がいなくては成立しません。
従業員の確保は円滑な医療を提供するためには必須条件なのです。
・離職が止まらない
・言われたことしかしない職員しかいない
・労働問題でもめている
などなど、組織の問題は多々あります。
特に近年のスタッフは、労働に対する考え方が変わってきています。
以前の職場であれば、自分で仕事を見つけて働く、人のやり方を見て自然に覚えるというようなことが普通でした。
見て覚えるということが前提で、忙しい職場に新人が送り込まれ、先輩職員の働く姿を一日見ている、そして、簡単な業務からスタートして段々と仕事を覚えてもらう。
これが一般的な医療現場です。
病院ですと、研修制度などがあるのですが、クリニックレベルでは、教育システムは確立していません。
これは、働く側に強い就業意欲と、自主性があることが前提でした。
しかし、今は、
・言われたこと以外はやらない
・強く言われると退職する
・求められても無理と諦める